明日への架け橋

遠い昔、人間世界には時間というものが存在せず、

今日から明日へと進むには あるハシゴを渡らなければ

明日にたどり着くことが出来なかった。

そのハシゴは か細く そして長く 崖の下は無数の針の山

渡りきれず落ちてしまう人も中にはいて、皆 明日へ進むことを恐れていた

勇気がなく 立ち止まっている人は、その場でどんどん老いぼれていき

前に進めず、気づくとカチコチに固まり 石になった

人々はすっかり希望を失い、そのハシゴに挑む者もなくなった

そんなある日、大寒波が到来し すさまじい吹雪に襲われた

ハシゴは氷で覆われ そこからツララが垂れ その重量に耐え切れず

ハシゴは粉々になり谷底へ落ちてしまった

わずかな望みも絶たれた人間は、このままここで石になるくらいなら と、

次から次へと崖へ身を投げた、それを見ていた神様は たまらなくなり

人間世界に時間というものを与えた それは大変素晴らしいもので、

どんな人にも平等に 時間が来れば自然と明日がやってくる

どんなに明日を恐れていても、明日は必ず訪れ 今日が過去になる

辛い出来事も その時間というものがきれいさっぱり洗い流してくれるのだ

素晴らしいものを与えてくださったと、人間は神に感謝をしたが、

実はまだこの時、この時間というものの残酷さを知る者は

誰一人 いなかった