ドーングリィ |
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50年の研究の末、ついにある薬が完成した
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| その効力はというと、たった一粒で どんな病気も治してしまう |
| さらに、どんな感情も その薬を飲めばイチコロで前向きな気分に転換する |
| そんな夢の様な薬が、ついにこの世に誕生したのだ |
| その薬の名前は「ドーングリィ」と名付けられた |
| 博士が自分の人生を棒に振ってまで 完成させた最高傑作である |
| 言うまでも無く、この「ドーングリィ」という薬は |
| 瞬く間に世界各国に広がり、皆がそれを手にし、それに救われたのだ |
| 恋人にフラれたその男性は、その薬を飲み 元気を取り戻し |
| 会社で嫌な事があったその女性は、その薬を飲み 笑顔を取り戻し |
| 友人とケンカをし 憤りを抑えきれないその人は、 |
| その薬を飲んだ事によって、いとも簡単に 優しい心を取り戻せた |
| 新聞などのメディアで公表された その「ドーングリィ」の効力は多種多彩で |
| 怒り・憎しみなどの憎悪 悲しみ・苦しみなどの苦悩に効くと言われている |
| そして 絶大な人気と信頼を得たその薬を 皆は頼りにし それを求めた |
| そして、人々は みるみると穏やかな心を取り戻し |
| 素晴らしく前向きな人達で溢れ 世界中が潤った |
| しかし、ある評論家が ひとつの疑問を投げかけた |
| その「ドーングリィ」が作られる成分とは一体なんなのだろうか?? |
| 全ては秘密で、国を巻き込む 国家機密かのような謎に包まれていた |
| その薬を作った博士には、常に100人以上の警備体制 そしてボディガード |
| 噂によるとFBIやCIAまでもが、裏で糸を引き 警備を遂行しているとの事 |
| 今でも作り続けている研究所には、どんな事があっても 立ち入る事はできない |
| 実は警備にあたっているFBIやCIAですら 薬についての内情は知らされておらず |
| 博士以外 その全てが謎であった… |
| そして 満月の夜に きまって散歩に出かける博士は |
| いつもの公園にさしかかると「ここから先は来ないでくれたまえ…」 |
| と、警備隊に向かって言った |
| 警備隊は、いつもこの公園の入り口付近で 待機させられるのだ |
| そして博士は、いつものように 暗いしげみの中へ ひとり消えて行った |
| それを見た一人の警備員が、あの「ドーングリィ」の秘密は |
| 博士の研究所ではなく、あのしげみの奥にあるのでは? と、 |
| 国家機密なんてクソくらえだと ついには我慢の限界に達し |
| あの世界中の人々を救った薬の秘密を暴いてやろうと決めた |
| 警備員は そ〜っと しげみに近寄り ゴクっと ひとつ生唾を飲み |
| 手に持っていた懐中電灯を博士に向け スイッチを入れた!! |
| 警備員「え………!!!!!!!???????」 |
| 明かりに照らされ 警備員の目に飛び込んできたのは |
| しげみの枯葉にまぎれた「どんぐり」を しゃがんで |
| ひとつひとつ 拾い集めている博士の姿だった |
| 元気をなくした人達は、この「どんぐり」を薬だと信じ |
| それを飲んだ事によって、元気になっていた |
| これが全ての真相だった… |
| 研究だの 調合だの 成分だの そんなの何ひとつ関係ない |
| 世界中の人々はこの万能薬である「ドーングリィ」を飲めばよくなる |
| そう思って飲んだため、それが効き目となって表れたのだ |
| それが「どんぐり」だとも知らずに… |
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| そして 今日も相変わらず薬局には、多くの人々が押し寄せている |
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