沼地の蛇

ある町の沼地に小さな蛇が住んでいました

蛇の中でもまれに見ない小ささなので 少年たちはいつも

石を投げたり、棒でつついたりして からかっては

体が小さく 気の弱い蛇を散々に困らせていました

しかしある心優しい一人の少女だけは いつもいじわるな少年たちから

その蛇を守ってくれました そんなある日、

少女はいじわるな少年たちに 「女のくせにでしゃばるなよぉ どんっ!!

と、突き飛ばされてしまいました

するとその蛇は顔を赤くして怒り、その少年たちの腕に噛み付きました

その日以来、町中にある噂が立ち始めました

どうやらあそこの沼地には 凶暴な蛇が住んでいるらしい

体長は一メートルほどあるそうだ

するとその蛇は、噂どおり 一メートルほどにもなった

そしてまた立て続けに噂が流れた

沼地には大蛇が住んでいて、人間をいとも簡単にぺロリと

ひと飲みで飲み込んでしまうそうだ と、町中に広まっていった

するとその蛇は巨大な大蛇へと姿を変え、町中の人々を次々と

その大きな舌で ぺロリ と飲み込みだした

人、自動車、家、学校、形あるものを全て 次から次へと飲み込んでいった

町は跡形もなくなってしまったが、唯一 ひとつだけ

その大蛇が飲み込まなかったものがある

それは、いつもいじわるな少年から守ってくれた 一人の少女であった

大蛇はその少女と二人だけで暮らそうと考えていた

しかし、家や家族、友達をなくした少女は 一向に泣き止む事がなかった

困り果てた大蛇は、その少女に「あなたにとって必要であり、大切に思う

ものだけ、吐き出してあげる」とつぶやいた すると少女は泣きながら、

「大切じゃないものなんてひとつもない!!」と言った すると大蛇は

飲み込んだ全てのものを吐き出し、元の小さい蛇の姿に戻り

悲しそうな顔をして ちゃぽん と沼地へ帰っていった